□習慣づけることで実現した情報共有
“インタラクション”。相互作用などと訳されるこの言葉にこだわって設立された会社がある。「有限会社しくみデザイン」である。テクノロジーとしての“しくみ”、インターフェイスとしての“デザイン”、そして内包する“インタラクション”。2005年2月に設立されたこの会社には、ユニークな才能が集まっている。そんな中でコムログはどう使われているのか。今回、会社設立メンバーである、中村俊介さんにお話をうかがった。
■本当のインタラクションを提供したい
会社名にデザインと入っていれば、誰でもデザインをする会社だと思う。もちろん「しくみデザイン」もデザインをする会社であることは間違いないのだが、デザインと一口に言っても幅広い。ポスターやチラシなど紙媒体のデザイン、Webデザイン、最近ではダイエットを手助けする、ボディデザインなどという言葉まで飛び出してきた世界である。では「しくみデザイン」は何をデザインするのか。
「誰もがやるようなことは、やりたくないんです。」
と中村さん。
「それでは、他のデザイン会社と何が違うのかってことになりますからね。」
ホームページには、“みんなが笑顔になれる新しい「しくみ」をデザインします”とある。これだけでピンと来る人は少ないだろう。そこでキーワードとなるのが“インタラクション”である。
「一般的に“インタラクション”というと、例えばボタンを押すと映像が流れるといったような、一つのアクションに対して返される事象といったところで使われます。」
しかし、それは“インタラクション”ではないと中村さんは言い切る。
「相互に作用されること、そしてそれが繰り返されなければ“インタラクション”とは言えません。例えばこれです。」
と言って立ち上がると、これまで自身が座っていたダンボールの箱を指差した。六角柱のその箱は、持ち上げると、六角形の同じ大きさの箱が数珠つなぎになった構造であることがわかる。
全てを一つにまとめれば、背の高い椅子に、二つに分ければ低い椅子に。さらにバリエーションがありそうだ。それが、1枚のダンボールを組み立てることで作ることができる。
「ワークショップを開いて、子供たちに作ってもらいました。盛り上がりましたね。」
直接あるいは間接的に何かに触れ、その結果が目の前に示される。それが楽しいもの、面白いものであれば、さらに新しい何かを期待して触れ続ける。まさに相互作用であり、「しくみデザイン」がデザインする“インタラクション”の世界である。おそらく、そこには笑顔が絶えないだろう。
同じことが中村さんの出世作である「神楽 ~KaGuRa~」にも言える。
モニター上に、カメラから取り込まれた自分がリアルタイムに映される。そのモニター上には様々な音が配置されており、取り込まれた自分がそこを触れることで、配置された音を鳴らすことができる。実にシンプルだが、これが楽しい。つい時間を忘れてモニター上で変な踊りを踊ってしまう。
例えばモニターにビールの写真が映し出され、そこに入った自分が動くと、栓を抜く音がしたりビールの注がれる音がしたり、そんな試作品もある。
「単に“面白いでしょ?”と言う時期は過ぎたと思ってます。これからは我社が提供するインタラクションの世界をもっと多くの人に知ってもらい、理念をビジネス上で具現化しなければなりません。」
ターゲットは、イベントなどでのアトラクションや広告など。
人が集まる場所で、何らかの効果を期待するようなものであれば、何でもいけると中村さんは言う。
現在テストケースとして、北九州空港に期間限定で設置されている。「反応はいいですね」というその表情からは自信がうかがえた。
■報告はコムログで、会議は楽しく
そんな会社で使われているコムログについて聞いてみた。
「スケジュール機能が付いていることが決め手になりました。なかなか全員がそろわない会社なので、誰が何をどういうスケジュールでやっているのかを把握したかったんです。」
しかし、すぐに効果は出なかったらしい。
「最初はなかなか書いてくれない。とにかく習慣づけるのが大変でしたね。その部分が徐々にクリアされてきつつあって、そうなって初めて導入効果が現れてきたと実感できました。なかば強制的に書くようにしたんです。」
さらに、常々会議のあり方に疑問を持っていたという。スタッフの中には遠くに住んでいる人もいる。週一回の全社会議に出席するために、それなりの時間をかけてやってきても、各々のスケジュールの確認だけで会議が終了。「この会議に意味はあるのか?」という声が出てくるのも無理からぬところだった。
「そこで、報告やスケジュールは全てコムログに任せることにしたんです。全体で把握しなければならないことは、そこを見ろと。で、会議は企画やアイデアを話し合う場にしました。おかげで会議の内容が濃くなったし、楽しくなりましたね。」
まず、コムログを使うという習慣づけ、全員が必ず見る、そして書く。そういう状態が会社内でできあがってしまえば、日々の報告ごとや会社の状況を知ることができ、全員が同じ認識を持ちやすくなる。よっていちいち会議で確認しなくてもよくなり、その時間をもっと有意義に使うことができる。
もちろん、重要事項は会議でも話し合われるだろうが、ずっと効率は良くなるはずだ。コムログの特徴である「情報の共有化」をうまく使っている事例である。
「コムログに求めたいことは、もちろんあります。しかし、コムログを使うことで改善されたこともあります。コムログをさらにいいものにしてください。」
最後は、コムログに対するいくつかのご要望をお聞きし、期待を込めた励ましの言葉をいただいた。
【紹介リンク】
しくみデザイン